リターンだけ見ると危険|半導体・FANG+の『本当のリスク』をオルカン・NASDAQ100と実数比較

NISA

こんばんわ、ともやんです。

「FANG+指数、直近のリターンすごいよな」「半導体ETFが爆上げしてるから乗り換えようかな」

そんな声をよく見かけます。でも、リターンの高さだけで投資先を選ぶのは実はかなり危険です。今回は「シャープレシオ」という指標を使って、オルカン・NASDAQ100・半導体(SOXX)・FANG+(FNGS)の4つを実際の数字で比較してみました。

正直、計算してみたら「予想と違う結果」になりました。それも含めて、包み隠さず共有します。

まず、3つの指標をやさしく整理

本題に入る前に、今回使う3つの指標を簡単に説明しておきます。ここを押さえておくと、後半の表がぐっと読みやすくなります。

① CAGR(年平均成長率)=「ならすと年何%で増えたか」

CAGR(シーエージーアール)は「Compound Annual Growth Rate」の略で、日本語では年平均成長率といいます。ある期間のトータルのリターンを、「毎年ならすと年何%ずつ増えた計算になるか」に直した数字です。

たとえば5年で資産が2倍になったとき、「5年で+100%」と言うよりも「年平均で約15%」と言ったほうが、他の投資先と比べやすいですよね。複利を考慮して年率に均してくれるのがCAGRです。数字が大きいほど、よく増えた、ということになります。

② 最大ドローダウン=「高値からどれだけ落ち込んだか」

最大ドローダウン(Max Drawdown)は、ある期間で「いちばん高かったところから、いちばん安かったところまで、何%下落したか」を示す数字です。「最悪、どれくらい含み損を抱える可能性があったか」の目安になります。

たとえば最大ドローダウンが-50%なら、一時的に資産が半分になる場面があった、ということです。CAGRが「どれだけ増えるか(リターン)」を表すのに対して、最大ドローダウンは「どれだけ落ちるか(痛み)」を表します。この2つはセットで見るのが大事です。

③ シャープレシオ=「リスク1単位あたり、どれだけ稼いだか」

シャープレシオは、ざっくり言うと「リスク1単位あたり、どれだけリターンを得られたか」を示す指標です。

シャープレシオ = (リターン − 無リスク金利) ÷ リスク(値動きのブレ幅)

数値が高いほど「効率よく」リターンを得られていることを意味します。同じリターンでも、値動きが穏やかな方がシャープレシオは高くなります。

ここで大事なポイントがあります。シャープレシオは「平均的な効率の良さ」を表す指標であって、「どれだけ深い含み損に耐える必要があったか」までは教えてくれません。この点が後半で効いてきます。

今回比較した4つの資産

  • オルカン(全世界株式・MSCI ACWI連動):時価総額加重で世界中に分散
  • NASDAQ100:米国の大型グロース株100銘柄
  • 半導体(SOXX/PHLX半導体指数):AI関連で近年大注目のセクター
  • FANG+(FNGS/NYSE FANG+指数):GAFAM+α、10銘柄の均等加重指数

データはPortfoliosLab等を参考に、2026年6月時点の直近5年程度の実績をもとにしています。なお、これらの数値は集計時点や算出方法によって変動するため、以下はあくまで「おおよその傾向をつかむための概算」として見てください。

実際の数字で比較してみた(概算)

ファンド 5年CAGR(概算) 直近5年の最大DD 過去最悪のDD(設定来)
オルカン(ACWI) 約12% 約-26% 約-56%
NASDAQ100(QQQ) 約20% 約-33% 約-83%
半導体(SOXX) 約33% 約-35% 約-70%
FANG+(FNGS) 約20% 約-45% 約-49%

※数値はPortfoliosLab等を参考にした概算で、集計時点・算出方法により変動します。「直近5年の最大DD」は主に2022年の下落局面、「過去最悪のDD」は各指数の設定来でもっとも深かった下落を指します(FANG+は指数の歴史が比較的浅い点に注意)。

意外な発見①:この5年は「集中投資」が報われた特殊な期間だった

正直、計算する前は「FANG+や半導体は効率が悪いはず」と予想していました。でも結果は逆でした。

直近5年のリターン(CAGR)で見ると、半導体(SOXX)は年率33%前後と圧倒的。NASDAQ100やFANG+の20%前後、オルカンの12%前後を大きく引き離しています。直近5年の最大ドローダウン(-35%程度)を考慮しても、リターンの大きさがそれを補って余りある結果でした。

ここは正直に認めないといけません。「集中投資は効率が悪い」という単純な結論は、少なくともこの5年間のデータでは成立しません。AI・半導体の歴史的ブームと、ちょうど重なった期間だったからです。

意外な発見②:リターンは派手だが、最悪期の「沈み方」が全然違う

一方で、最大ドローダウン(下落の深さ)を見ると話が変わってきます。

注目してほしいのは「過去最悪のDD(設定来)」の列です。

  • オルカン:約-56%
  • NASDAQ100:約-83%
  • 半導体:約-70%
  • FANG+:約-49%(ただし指数の歴史が浅い)

直近5年は穏やかに見えても、過去にはNASDAQ100が-83%、半導体が-70%という、資産が大きく溶ける局面があったわけです。特に半導体セクターは好不況の振れ幅が極端で、2000年のITバブル崩壊や2008年の金融危機では、半値や3分の1以下になる場面もありました。

ここで自分に問いかけてみてください。資産が半分以下に溶ける含み損を抱えた状態で、果たして淡々と積立を続けられるでしょうか。直近5年のなだらかな数字だけ見て「意外と落ちないな」と判断すると、本当の最悪期の沈み方を見落としてしまいます。これがリターンの数字だけを見ていると見落としがちなポイントです。

なぜ「再現性」で考えるべきか

ここが一番伝えたいポイントです。

半導体の年率33%は、AI半導体という特殊な追い風があったからこその数字です。次の5年も同じような追い風が吹く保証はどこにもありません。むしろ過去の半導体セクターは、好況と不況の振れ幅が極端に大きいことで知られています。

一方オルカンの「年率12%前後・直近の下落は-26%程度」というレンジは、特定セクターの好不調に左右されにくい、時価総額加重・全世界分散という構造そのものに支えられています。過去数十年、極端なバブルとその崩壊に巻き込まれにくい形で、似たようなレンジに収まり続けてきた実績があります。

つまり今回の比較から言えるのは「直近のリターンでは集中投資が目立つが、再現性ではオルカンに分がある」という整理です。直近の派手なリターンだけを見て判断するのは、いわゆる「直近バイアス」にハマっている可能性があるということを、自分自身への戒めとしても覚えておきたいところです。

コア・サテライト戦略への活かし方

ここまでの内容を踏まえると、「だからFANG+や半導体には絶対手を出すな」という話ではないと思っています。

むしろ大事なのは役割分担です。再現性の高いオルカンやNASDAQ100のような資産をコアに据えて土台を作りつつ、半導体やFANG+のような「リターンは大きいがブレ幅も大きい」資産はサテライトとして比率を絞って持つ。そうすることで、AIブームのような追い風が続けば恩恵を受けつつ、逆風が吹いても致命傷にならない設計にできます。

どこまでサテライトに振るかはリスク許容度次第なので一概には言えませんが、「リターンが高いから安心」ではなく「最大ドローダウンに自分が耐えられるか」を基準に考えるのが、より実践的な判断軸になるはずです。

まとめ

  • CAGRは「どれだけ増えるか」、最大ドローダウンは「どれだけ落ちるか」。この2つはセットで見る
  • シャープレシオは「平均的な効率」を表すが、「最悪期の深さ」は教えてくれない
  • この5年は半導体が歴史的ブームで、リターンでは集中投資の方が良く見えた
  • でも過去最悪期の下落は、半導体-70%・NASDAQ100-83%と桁違いに深い
  • 直近の派手なリターンは再現性が低い可能性がある。判断基準は「リターン」より「耐えられるか」
  • コア(再現性重視)とサテライト(リターンは高いがブレも大きい)の役割分担が現実的な落としどころ

淡々と、でも本気で。航路を守り続けることが、長期投資の本質だと私は思っています。

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※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。記載の数値はPortfoliosLab等を参考にした概算であり、集計時点や算出方法により変動します。過去の実績は将来の運用成果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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