こんばんわ、ともやんです。
インデックス投資を始めると、ある時ふと疑問がわいてきます。
「手元の現金、全部投資に回した方がいいんじゃないか?」
長期で見れば株式は現金より増えていくわけですから、現金で寝かせておくのはもったいない、という発想です。理屈としては正しいように見えます。でも実際には、ある程度の現金を意図的に残しておくことには、ちゃんとした理由があります。
今日はその話をしてみます。
まず、暴落がどれくらい怖いのかを知っておく
投資をしていると、必ずどこかで暴落に遭遇します。これは「来るかもしれない」ではなく「いつか必ず来る」ものとして考えておいた方がいいです。
たとえばリーマンショックのとき、米国の代表的な株価指数は高値から半分以上、率にして約57パーセントも下がりました。仮に資産が順調に増えて2倍になっていたとしても、ここで50パーセントの暴落が来れば、計算上は振り出しに戻ります。
数字にすると、こうです。
100万円が200万円に増えた。
そこで50パーセント下落して100万円に戻る。
数年かけて積み上げたものが、わずか数ヶ月でなかったことになる。これが暴落の怖さです。
でも、暴落で終わらないのが歴史
ここで多くの人が勘違いするのですが、暴落は「終わり」ではありません。
過去を振り返ると、暴落のあとには必ず回復が来ています。リーマンショックでいえば、暴落前の高値を取り戻すまでに約4年かかりましたが、その後も株価は伸び続け、底値から10年ほどで3倍以上に成長しました。つまり、暴落しても売らずに持ち続けていた人は、しっかり報われているわけです。
問題は一つだけ。暴落したときに売ってしまうかどうか、です。
頭では「持ち続ければ回復する」とわかっていても、実際に資産が半分になると、人は冷静ではいられません。「もっと下がるんじゃないか」という恐怖に負けて、底値で売ってしまう。これが一番やってはいけない行動です。
ここで効いてくるのが「弾薬」
では、暴落時に冷静でいるためにはどうすればいいか。
一つの答えが、現金をある程度残しておくことです。投資の世界では、この待機資金のことを「弾薬」と呼んだりします。いざ暴落が来たときに、安くなった株を買い増すための資金のことです。
全力で投資をしていると、暴落が来たときにできることは「ただ耐える」ことだけです。資産が減っていくのを、ひたすら見ているしかない。これは精神的にかなりきついです。
一方で、手元に弾薬があるとどうなるか。暴落が来たときに「むしろ買い場が来た」と思えるようになります。同じ下落相場でも、見え方がまったく変わるんです。安くなった株を買い増せる立場にいると、恐怖よりもチャンスとして相場を見られる。結果として、狼狽売りをするリスクもぐっと下がります。
弾薬は、ただの待機資金ではありません。暴落時に自分の心を守るための装備でもあるわけです。
「わからないものには手を出さない」という強さ
精神的な安定という意味で、もう一つ参考になる考え方があります。それは「自分が理解できないものには投資しない」という姿勢です。
象徴的なのが、あの投資の神様、ウォーレン・バフェットです。
2000年前後のドットコムバブルのとき、ハイテク株やIT関連銘柄が連日のように急騰していました。誰もがその熱狂に飛びつくなか、バフェットは「自分には理解できない」という理由で、これらの銘柄にほとんど手を出しませんでした。
当時、彼は「時代遅れの終わった投資家だ」と散々に叩かれたそうです。みんなが儲けているのに、自分のやり方を変えない頑固な老人、というわけです。
ところがバブルは崩壊しました。ハイテク株中心のナスダック指数は、天井から大きく崩れ落ちていきます。あれだけ持ち上げられた銘柄が大きく値を下げるなか、バフェットの会社はほとんど傷を負いませんでした。理解できないものを避けていたからこそ、暴落の直撃を受けずに済んだのです。
そして熱狂に踊った投機家たちが市場から去っていく一方で、バフェットは温存していた資金で、割安になった企業に投資していきました。
自分のルールを持つことが、心を守る
このエピソードが教えてくれるのは、相場の熱狂に流されず、自分なりの判断基準を持つことの大切さです。
「みんなが買っているから」「すごく上がっているから」という理由だけで投資をすると、暴落が来たときに何の支えもありません。なぜ持っているのか自分で説明できないものは、下落局面で簡単に手放してしまいます。
逆に「自分はこういう理由でこれを持っている」という軸があれば、相場が荒れても揺らぎにくい。理解しているものだからこそ、下がったときに「これは一時的なものだ」と冷静に判断できるわけです。
これは弾薬を残すという話とも通じています。理解できる範囲のものに、無理のない金額を投じて、余力も残しておく。この組み合わせが、暴落時の精神的な安定を支えてくれます。
派手に勝とうとするより、わからないものには手を出さず、自分の理解できる範囲を守る。地味に見えて、これが長く投資を続けるための一番の土台になります。
現金の三段構え
ここまでの話を整理すると、手元の現金は大きく三つに分けて考えるのがおすすめです。
一つ目は、生活を守るための緊急資金。病気やケガ、失業など、何が起きても数ヶ月は生活できるお金です。これは投資とは完全に切り離して確保しておきます。投資に回してはいけないお金です。
二つ目は、実際に投資へ回すお金。余剰資金です。緊急資金を確保したうえで、生活に影響しない範囲のお金を投資に充てます。
三つ目が、暴落時のための弾薬。少し余裕を持って残しておく現金で、いざというときに買い増しに使います。
緊急資金、投資資金、弾薬。この三段構えで考えておくと、暴落が来ても慌てずに済みます。
どれくらい弾薬を残すか、に正解はない
では弾薬はいくら残せばいいのか、という話になりますが、これに決まった正解はありません。
現金比率を高くすればするほど、暴落時の安心感は増しますが、その分だけ上昇相場での機会は逃します。逆に現金を減らせば、平常時のリターンは伸びますが、暴落時に動ける余地は小さくなります。
ここは自分の性格や、どれくらいの下落まで平気でいられるかによって決めるしかありません。夜ぐっすり眠れる比率、というのが一つの目安になると思います。
そしてもう一つ、忘れてはいけない視点があります。それは年齢やライフプランによって、持つべき現金の量は変わるということです。
たとえば20代、30代で独身、まだ働く期間が何十年も残っている人なら、暴落が来てもそのあと回復を待つ時間がたっぷりあります。多少現金が少なめでも、給料という定期的な入金がありますから、無理なく投資を続けられます。
一方で、定年が近い人や、近い将来に大きな出費が控えている人は話が変わります。子どもの教育費、住宅購入の頭金、あるいは退職後の生活費。こうしたお金が必要になるタイミングで暴落と重なると、回復を待つ余裕がありません。安くなったところで泣く泣く売る、という最悪のパターンになりかねない。だから人生のステージによっては、現金を厚めに持っておく判断も十分に合理的です。
同じ「弾薬を残す」でも、20代の人と50代の人とでは、適切な量がまるで違う。自分の年齢や、これから先に控えているライフイベントを踏まえて考えることが大切です。
現金比率は、アセットアロケーションの一部
ここまで現金の話をしてきましたが、もう少し視野を広げると、これはアセットアロケーションという大きな枠組みの一部だと気づきます。
アセットアロケーションとは、自分の資産を何にどれだけ配分するか、という設計のことです。株式、債券、現金、不動産。こうした資産をどんな比率で持つかが、長期のリターンとリスクの大部分を決めると言われています。どの銘柄を選ぶかよりも、この配分の方がよほど結果を左右する、という研究もあるくらいです。
現金比率を決めるという行為は、つまりこのアセットアロケーション全体を考えることでもあります。株式に何割、現金に何割。そのバランスをどう取るかが、その人の投資方針そのものになるわけです。
弾薬をいくら残すかという問いは、単独で考えるものではなく、自分の資産全体をどう配分するかという視点の中で捉えるとすっきりします。年齢が上がるにつれて株式の比率を下げ、現金や債券を増やしていく、というのも、このアセットアロケーションの考え方に基づいた王道のやり方です。
大事なのは、無理のない範囲で続けられること。理論上の最適解よりも、自分が長く持ち続けられる形を選ぶ方が、結局は強いです。
まとめ
現金を全部投資に回すのが、いつも正解とは限りません。
暴落は必ず来る。でも持ち続ければ回復する。その「持ち続ける」を実現するために、弾薬としての現金が効いてきます。
緊急資金で生活を守り、余剰資金で投資をして、弾薬で暴落に備える。この三段構えを意識しておくだけで、相場が荒れたときの心の余裕がまったく変わってきます。
慌てて売らないための準備を、相場が穏やかな今のうちにしておきましょう。
弾薬を使うときに備えて、すぐ動ける証券口座を用意しておくのも大事です。ともやんがメインで使っているのは松井証券で、NISA口座にも対応していて手数料も安く、初めての人でも使いやすいです。
※本記事は特定の銘柄や投資手法を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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