金の下落でやめ時が分からない人へ|『価格』ではなく『比率』で決めるルール

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こんばんわ、ともやんです。

ゴールドの価格が、いよいよ1オンス4,000ドル台まで下げてきました。1月に5,400ドルを超える高値をつけたことを思えば、けっこうな下落です。私自身、サテライトとして金を持っているので、含み損の赤い数字を見るたびに「これ、どこまで下がる?」とソワソワしていました。

そんな中で、ふと立ち止まって考えてみたんです。「そもそも、金を積立で買い続ける意味ってあるのか?」「やめ時が分からんままナンピンしてるけど、これでいいのか?」と。

今回は、その疑問を自分なりに調べて整理して、最終的に「自分の運用ルール」に落とし込むまでの過程を、そのまま記事にしてみます。価格がなぜ動くかという分析の話ではなく、金とどう付き合うか、積立をどう判断するか、というメンタルとルールの話です。同じように金の下落でモヤモヤしている方の参考になれば嬉しいです。

「中東で下がった」に感じた違和感

下落のニュースを見ていて、最初に引っかかったのがここでした。「中東情勢が落ち着いてきたから金が下がった」という説明をよく見かけたのですが、どうにも腑に落ちなかったんです。

というのも、価格の天井は今年の1月後半から2月頭にかけてでした。そして中東の紛争が本格化したのは2月末です。つまり、紛争が始まった「のに」金は下げ続けた、というのが実際の流れなんですね。金は「有事の金」と言われ、危機のときに買われる資産のはずです。それが逆に下がった。これは歴史的なパターンに逆行する動きで、多くのアナリストも驚いたと報じられていました。

ということは、「中東で下がった」という説明は因果として成立していません。中東はむしろ脇役で、下落の主役は別にいる。そう考えると、金の値段の正体が見えてきました。

金は「もう一つの通貨」だった

調べていくうちに、私の中で一番腹落ちしたのがこの理解です。金の値段は、モノの需給では決まらない。むしろ通貨に近い、という見方です。

金は配当も利息も生みませんが、掘られた金はほとんど消えずに地上に残り続けるので、「今年いくら採掘されたか」といった需給の話は値段にほとんど効きません。では何で決まるのか。「今この瞬間、金を持っておきたい人」と「もう手放したい人」の力比べで決まります。そしてその気持ちを左右するのが、主に次の4つです。

要因 金への影響
実質金利 金は利息を生まないため、金利が上がると不利。利下げ局面は有利。影響が最も大きい。
ドルの強さ 金はドル建て取引。ドル高だと他通貨圏で割高になり需要が減る。金とドルはシーソー。
信認・安全資産需要 通貨や金融システムへの不安が高まると買われる。中央銀行が買い続ける動機もこれ。
投機・モメンタム 先物やETFの短期マネー。日々の値動きのギザギザはほぼこれが作る。

今回の下落は、この4つのうち「実質金利の上昇」と「ドル高」が同時に効いた局面でした。中東の安全資産需要が一巡したところに、金利とドルの逆風が重なった。だから「有事なのに下がる」という一見ちぐはぐな動きになったわけです。金は、為替に近い「もう一つの通貨」だと捉えると、すっきり理解できました。

工業需要や銅とは、何が違うのか

ここで「でも金って工業需要もあるよね?銅はあんなに上がってるし」と思う方もいるかもしれません。私もそう思いました。でも調べると、金と銅は値段の決まり方がそもそも違うんです。

銅はほぼ100%が実需です。電線、EV、データセンター、送電網。掘って消費される金属なので、需給がそのまま値段に効きます。AIや電化で需要が爆発して供給が追いつかないから上がる。純粋な工業需要の物語です。

一方、金の工業需要は全体の1割にも満たない脇役です。残りの大半は「投資」と「中央銀行の信認需要」、つまり持っておきたい人の心理で動きます。だから金が上がるときの理由は「インフレが怖い」「ドルが信用できない」「金利が下がる」であって、「工業需要が増えたから」ではないんですね。同じ金属でも、住んでいる世界が違うわけです。

ついでにインフレとの関係も整理できました。「インフレなら金は上がるはず」という直感は、半分正しくて半分外れます。長期では、紙のお金の価値が薄まる分だけ金の相対価値は保たれる(ガソリン)。でも短期では、インフレを抑えるために中央銀行が利上げをすると、金利上昇が金の逆風になる(ブレーキ)。インフレは金にとってアクセルとブレーキの両方なんです。今はブレーキ(利上げ警戒)が効いている局面なので、インフレ環境なのに金が下げる、というねじれが起きています。

本題。積立で金を買う意味はあるのか

ここまで理解して、ようやく本題に戻れました。金は配当も利息も生みません。だからインデックスのように「長期で右肩上がり、複利で増える」ことを期待する資産ではありません。金の長期リターンの本質は「インフレで目減りしない」、つまり現状維持です。

ということは、積立で金を持つ意味があるのは、リターンを取りに行く目的ではなく、ポートフォリオ全体の保険・分散として持つ場合に限られます。株が暴落したときに金が踏ん張ってくれる、その保険料を払っているイメージです。

ここで私はハッとしました。私は金で含み損が出て、無意識にナンピンしていた。でも保険にナンピンはしないですよね。火災保険が値下がりしたから買い増す、なんてことはしません。つまり私は、金を「保険」ではなく「値上がり益を狙う資産」として扱ってしまっていた。やめ時が分からなくなっていた原因は、ここにありました。

「価格」で悩むのをやめて「比率」で決める

では、どう持てばいいのか。私がたどり着いた答えは、価格でやめ時を判断するのをやめて、ポートフォリオ内の比率でルール化する、というものでした。

具体的には、こうです。

手順 内容
①役割を決める 金は「保険」と再定義する。リターン源ではないと腹を決める。
②上限を決める 総資産に対する金の上限比率を決める(分散目的なら5〜10%が目安)。
③はみ出たら戻す 上限を超えたら超過分だけ売ってインデックスへ。下回っていれば何もしない。

この方法のいいところは、「下落を予測して逃げる」という相場張りを一切含まないことです。プロでも先の見方は割れていて、年末3,800ドル台までの下落を見る弱気派もいれば、年末に6,000ドル近くを見る強気派もいます。底か途中か、誰にも当てられません。だからこそ、当てにいかずにルールで機械的に対処する。これが「航路を守る」という私の投資哲学にも一番フィットしました。

含み損で売ることに抵抗を感じるかもしれませんが、これは損切りではなくリバランスです。比率が崩れたから戻すだけで、損益はたまたま付随しているだけ。むしろ特定口座の含み損なら損益通算が使えるので、税務上はプラスに働くこともあります。赤字は「もったいない」ではなく「使える」と捉えると、気持ちが軽くなりました。

私の場合、どうなったか

実際に自分のポートフォリオで金の比率を計算してみたところ、約6%でした。上限を10%と決めたので、まだ余裕があります。つまり私の場合は「積立継続でOK、なんなら安く買えてラッキー」という結論になりました。

面白いのは、計算する前はあれだけ悩んでいたのに、数字を出した瞬間に迷いが消えたことです。やめ時が分からなかったのは、自分のポジションが全体の何%なのかを把握していなかったからでした。測ってみたら6%、枠は10%、まだ買える。感覚で悩むのではなく、数字で判断できる状態に切り替わった。これが今回の一番の収穫だったと思います。

正直に言うと、「3,000ドルくらいまで下がらないかな」という不安は今もあります。でも、このルールを持っていれば、仮に3,000ドルまで落ちても金の比率はさらに下がるだけ。10%枠に対して余裕が広がるので、ルール上は「淡々と積み立てる、むしろ安売り」の局面になります。価格でやめ時を考えていたら3,000ドルは恐怖ですが、比率で考えていれば3,000ドルはただのバーゲンです。ビクビクする感覚は消えませんが、ビクビクしても手が動かないように、ルールで縛っておく。それで十分だと思っています。

まとめ

今回の流れを振り返ると、「中東で下げたのに変やな」という相場の違和感から入って、金は通貨型の資産だと理解し、最後は自分のポートフォリオでの金の役割を再定義するところまで来られました。整理して得た結論は、シンプルにこれだけです。

資産 方針
コア(オルカン・NASDAQ100) NISAで積立継続。これが資産形成の主役。
金(保険) 上限10%で保有。超えたらリバランスで戻す。価格ではなく比率で判断。

金を持つかどうかで悩んでいる方、下落でやめ時が分からなくなっている方は、一度ご自身のポートフォリオで「金が全体の何%か」を計算してみることをおすすめします。数字を見れば、案外あっさり答えが出るかもしれません。再確認って、本当に大事ですね。

それでは、また。航路を守っていきましょう。

※本記事は私個人の考えや経験を整理したものであり、特定の投資手法や銘柄を推奨するものではありません。価格などの数値は執筆時点のものです。投資の最終判断はご自身でお願いします。

松井証券

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