こんばんわ、ともやんです。
前回の記事で「iDeCoやDCマッチング拠出は30年積み立てると、同じ金額をNISAに入れた場合より手取りが減るケースがある」という話を書きました。
ただ、あれは30年という長期前提の話で、実際には「出口が近づいてきたらリスクを落とす」という考え方で、20年くらいで計算し直すと結論がガラッと変わります。しかも年収が高くなるほど、iDeCoの節税メリットが際立ってくる。今日はそのあたりを、年収600万円〜2000万円の帯で試算してみました。
さらに今後のインフレを考えると、見かけの年収は上がっていく可能性が高い。年収が上がると税率の切り替わりが起きて、iDeCoの旨味がさらに大きくなるタイミングがあります。そのラインも一緒に確認してみます。
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20年だと結論が変わる理由
前回の試算(30年)では、残高が大きく育ちすぎて出口の退職所得課税が膨らみ、NISAの出口非課税に負けるという結果でした。しかし20年だと話が違います。
iDeCoを一時金で受け取るときは退職所得控除が使えて、加入20年なら800万円の控除枠があります。20年・年率10〜15%で積み立てると残高は4,000〜9,000万円前後になりますが、この規模だと退職所得控除800万円と1/2課税の優遇が一定程度効いて、出口課税が比較的軽く収まります。
その分、入口で浮いた節税をNISAで再投資する効果が出口課税を上回りやすくなる。だから20年では、iDeCo満額+節税NISA再投資が最強パターンになります。
今回は2パターンに絞って比較します
前回は次の5パターンを比較しました。
①全額NISA(超過は特定)/②iDeCo満額+節税現金/③iDeCo満額+節税特定/④iDeCo満額+節税NISA/⑤全額NISA+超過iDeCo、の5つです。
ただ今回は、結論を見やすくするために④と⑤の2つだけに絞って表示します。①②③を省くのには理由があります。
①(全額NISA)は、NISA枠を超えた分が課税口座に回るため、NISAを優先しつつ超過分をiDeCoの節税に回せる⑤に必ず劣ります。②(節税分を現金で寝かせる)は、せっかくの節税を運用しないので、どの条件でも最下位です。③(節税分を特定口座で運用)は、運用益に課税される分、同じ再投資でも非課税のNISAに回す④に必ず負けます。
要するに、①②③は「④か⑤の劣化版」なので、勝ち得る可能性があるのは④と⑤の2つだけ、というわけです。特に②は、戻ってきた節税を使ってしまう一番損なパターンなので注意してください。
というわけで、ここからは④(iDeCo満額+節税NISA)と⑤(全額NISA+超過iDeCo=前回の最強)の一騎打ちで見ていきます。
シミュレーション結果
前提は「年率10%または15%・20年・退職金なし・全額一時金受取」です。どちらも自腹で出す金額は同じに揃えています。各年収で手取りが多いほうを赤字にしています(単位:万円)。
税率の切り替わりは、年収700万円(30%)・1,100万円(33%)・1,400万円(43%)の3カ所です。年収が上がるほど、④がどう伸びていくかに注目してください。
掛金 月6.2万円(年74.4万円)/ 年率10% / 20年
| 年収(限界税率) | ④iDeCo満額+節税NISA | ⑤全額NISA+超過iDeCo |
|---|---|---|
| 600万(20%) | 4,922 | 4,687 |
| 700万(30%) | 5,391 | 4,687 |
| 1,100万(33%) | 5,532 | 4,687 |
| 1,400万(43%) | 6,000 | 4,687 |
※数字の単位は万円です(例:6,000 = 6,000万円、12,910 = 1億2,910万円)。
掛金 月7.5万円(年90.0万円)/ 年率10% / 20年
| 年収(限界税率) | ④iDeCo満額+節税NISA | ⑤全額NISA+超過iDeCo |
|---|---|---|
| 600万(20%) | 5,852 | 5,670 |
| 700万(30%) | 6,419 | 5,670 |
| 1,100万(33%) | 6,589 | 5,670 |
| 1,400万(43%) | 7,156 | 5,670 |
※数字の単位は万円です(例:7,156 = 7,156万円)。
掛金 月6.2万円(年74.4万円)/ 年率15% / 20年
| 年収(限界税率) | ④iDeCo満額+節税NISA | ⑤全額NISA+超過iDeCo |
|---|---|---|
| 600万(20%) | 8,779 | 8,765 |
| 700万(30%) | 9,655 | 8,765 |
| 1,100万(33%) | 9,918 | 8,765 |
| 1,400万(43%) | 10,795 | 8,765 |
※数字の単位は万円です(例:10,795 = 1億795万円)。
掛金 月7.5万円(年90.0万円)/ 年率15% / 20年
| 年収(限界税率) | ④iDeCo満額+節税NISA | ⑤全額NISA+超過iDeCo |
|---|---|---|
| 600万(20%) | 10,471 | 10,603 |
| 700万(30%) | 11,531 | 10,603 |
| 1,100万(33%) | 11,849 | 10,603 |
| 1,400万(43%) | 12,910 | 10,603 |
※数字の単位は万円です(例:12,910 = 1億2,910万円)。
表から読み取れること
はっきりしているのは、年収700万円(税率30%)を超えると、iDeCo満額(④)がNISA優先(⑤)を明確に上回るということです。そして年収が上がるほど、その差はどんどん広がっていきます。
たとえば月6.2万・年率10%で見ると、④の手取りは年収600万で4,922万円ですが、700万で5,391万円、1,100万で5,532万円、1,400万では6,000万円まで伸びます。⑤(NISA優先)はずっと4,687万円のままなので、年収が上がるほど④との差が開いていくのが一目でわかります。
これは、年収が上がって税率が切り替わるたびに、入口の節税額が増えるからです。その増えた節税分を非課税のNISAで再投資するので、複利で効いてきます。高年収の人ほど、iDeCoの「入口の所得控除」という武器が強力になる、というわけです。
唯一の例外は、月7.5万・年率15%・年収600万のケースだけです。ここだけは⑤(NISA優先)が10,603万円で④の10,471万円を上回ります。掛金が大きく・年率が高く・税率が低い(20%)という条件が重なると、節税の絶対額が小さい一方で残高が大きく育って出口課税が重くなるため、NISAが勝ちます。ただしこのケースでも、年収が700万を超えた瞬間に④が逆転します。
結局のところ、年収700万円が一つの分岐点で、そこを超えたらiDeCoを満額使ったほうがお得になる、と覚えておけば大きく外しません。
インフレで年収が上がることの意味
今後インフレが続くと、見かけの年収は上がっていきます。これはiDeCoの節税戦略という観点では追い風です。年収が700万・1,100万・1,400万の各ラインを超えるたびに、入口の節税額が増えてiDeCoの有利さが拡大するからです。
たとえば今は年収600万(税率20%)でも、インフレで実質的な購買力は変わらないまま見かけの年収が700万を超えると、税率は30%に切り替わります。このタイミングでiDeCoの掛金を増やすのが、節税効率を高める一つのきっかけになります。
20年と30年、どちらを選ぶか
前回の30年パターンでは⑤(NISA優先)が最強でしたが、今回の20年パターンでは④(iDeCo満額+節税NISA)が最強です。どちらが自分に当てはまるかは、積立を始める年齢と出口設計次第です。
40代でスタートして60歳に向けて20年積むなら、今回の結論(iDeCo満額が有利)が当てはまります。30代でスタートして30年積むなら、前回の記事の結論(NISA優先)の方が近くなります。期間が長いほど残高が育って出口課税が重くなるので、NISA優先に傾く、という関係です。
また、iDeCoには60歳まで引き出せないという制約があります。満額(月6.2〜7.5万円)を入れると生活の流動性が大きく下がるので、家計に余裕がある範囲で掛金を設定することが大前提です。節税メリットが大きくても、手元資金が必要なときに引き出せないのでは本末転倒になります。
まとめ
今日の試算で分かったことを整理します。20年という期間では、iDeCo満額+節税分をNISAで再投資する④パターンが、ほぼすべての年収・利回りで最強になります。前回の30年パターン(⑤が最強)とは逆の結論です。
そして年収700万円を超えると④が明確に有利になり、年収が上がるほど差が広がります。インフレで見かけの年収が上がっていく時代には、iDeCoをうまく使うことの意味がより大きくなっていきます。年収が上がってきたら、iDeCoの活用を前向きに検討する価値は十分にあります。
ただし60歳まで引き出せない制約と、退職金がある場合の退職所得控除の取り合いには要注意です。自分の年収帯・積立期間・退職金の有無を確認したうえで、掛金を決めることをおすすめします。
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※本記事は執筆時点の情報をもとにした一般的な情報提供であり、特定の金融商品や投資手法を推奨するものではありません。税制・制度の内容や試算の前提は変更される場合があり、実際の税額は個々の状況により異なります。退職所得控除や1/2課税の適用条件、退職金との調整など、具体的な判断は税理士やFPなどの専門家にご相談のうえ、ご自身の責任で行ってください。

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