563Aとは?年率15%デイリー・カバードコールETFの仕組みと注意点を正直に整理

投資信託

こんにちは、ともやんです。

いまインカム投資家の間で話題のETF、563A(グローバルX NASDAQ100・デイリー・カバード・コール ETF)を整理します。年率15%の分配を目指すという派手な看板を掲げて2026年4月に上場した、国内初の「デイリー・カバードコール」型ETFです。

しかもこの記事を書いている今日、7月8日(水)は、初回決算(7月10日)の権利付き最終売買日。国内初のデイリーカバコが最初にどんな分配を出すのか、注目が集まるタイミングです。SNSでもよく見かけるようになったので、「15%ってほんまに?」と気になっている方向けに、仕組みから注意点まで一通りまとめました。

なお、私がNISAの積立に使っているのは松井証券です(詳しくは記事後半で紹介します)。

563Aってなに?基本スペック

まず基本情報から確認しておきましょう。

名称・コード グローバルX NASDAQ100・デイリー・カバード・コール ETF(563A)
上場日 2026年4月23日(東証)
戦略 NASDAQ100を実質保有しつつ、毎営業日、翌営業日満期(1DTE)のコール・オプションをATMで売却
カバー率 10%前後(年率15%の目標から逆算して日々調整)
分配 毎月10日決算・年12回(目標利回り 年率15%程度)
信託報酬 実質 年率0.2775%(税込)程度
売買単位 1口(1口から分配金を受け取る権利あり)
NISA 対象外(毎月分配型のため)

※Global X Japan公式サイト・東証の情報をもとに作成(2026年7月時点)。実際の中身は、韓国上場の「TIGER US NASDAQ100 Target Daily Covered Call」に投資するファンド・オブ・ファンズ形式です。為替は米ドル/円の影響を受けます(ウォンの影響は受けません)。

仕組み:毎日コールを売って、プレミアムを積み上げる

カバードコール(通称カバコ)とは、株式を保有しながら「その株を将来の特定価格で買う権利(コール・オプション)」を売って、その売却代金(プレミアム)を受け取る戦略です。プレミアムが分配金の原資になる代わりに、株価が大きく上がったときの値上がり益の一部を手放すことになります。

563Aが新しいのは、このオプション売却を毎営業日行う点です。お金が生まれる流れはこうなります。

563Aがお金を生む流れ

📊 NASDAQ100を実質的に保有

📝 毎営業日、翌日満期のコールを売却
(保有分の約10%だけに)

🪙 オプション料(プレミアム)を毎日受け取る

💴 毎月10日決算で分配(年率15%目標)

満期まで1日しかない「デイリー・オプション」は、期間の割に大きなプレミアムが取れるのが特徴です。この効率の良さを毎日積み上げることで、保有分のごく一部にしかコールを売らなくても、年率15%という高い目標を狙える設計になっています。

従来型カバコとの最大の違いは「カバー率」

「カバコETFなら前からあるやん」と思った方、そのとおりです。QYLDや、その東証版にあたる2865(グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF)が有名ですね。従来型との決定的な違いが、コールを売る割合=カバー率です。

カバー率のちがい=上昇をどれだけ取れるか

🔒

従来型(QYLD・2865など)

カバー率 ほぼ100%
保有分のほぼ全部にコールを売る
→ 高い分配の代わりに
上昇にフタがされる

🔓

563A(デイリー型)

カバー率 10%前後
デイリーの効率で少量売却でOK
→ 15%を狙いつつ
上昇の約9割を追随できる設計

従来型はプレミアムを最大化するために保有分のほぼ全部にコールを売るので、NASDAQ100がどれだけ上がっても、その上昇はほとんど取れません。一方563Aはカバー率が10%前後に抑えられているため、指数の値上がりを約9割分取り込める構造とされています。インカムと成長の「いいとこ取り」を狙った設計、というわけです。コストも実質0.2775%程度と、従来型2865(年0.6%台)の半分以下に抑えられています。

メリットを整理すると

高インカム(年率15%目標)を狙いながら、NASDAQ100の成長にもある程度乗れる。信託報酬は実質0.2775%程度と、この種の戦略としては低コスト。毎月10日決算の年12回分配で、キャッシュフローの見通しが立てやすい。そして日本円で、1口(数千円程度)から東証で買える手軽さもあります。ドル転も為替手数料も不要です。

デメリット・注意点(ここが大事)

ここからが本題です。派手な15%の裏側にある注意点を、正直に並べます。

①下落クッションも1割分しかない。カバー率10%ということは、下落時に受け取れるプレミアムのクッションも薄いということです。暴落が来れば、ほぼNASDAQ100と同じだけ下がると考えておくべきです。NASDAQ100は過去に最大80%超の下落を経験した指数だという点は、以前の実数比較の記事でも書いたとおりです。

②NISA対象外。毎月分配型のためNISA成長投資枠では買えず、特定口座での保有になります。分配金にも売却益にも約20%の税金がかかるので、「15%」の額面から税負担分は目減りします。

③15%は目標であって保証ではない。公式FAQにも、必ずしも分配利回りが15%になるわけではなく相場状況で変動する、と明記されています。分配金の濃縮化・希薄化が生じることもあります。

④実績がまだ何もない。上場は2026年4月で、初回の決算がこれから(7月10日)。つまり分配の実績は現時点でゼロです。設計思想は面白くても、実際にどう機能するかはこれから確かめられていく段階です。

⑤分配の原資は企業の利益ではない。VYMのような高配当ETFの分配は企業が稼いだ配当が原資ですが、563Aの原資はオプションプレミアムという「合成されたインカム」です。NASDAQ100が下落すれば、元本も分配金も減る可能性があると公式も明記しています。米ドル/円の為替リスクも普通に受けます。

初回分配はいくら出る?(今日が権利付き最終日)

冒頭でも触れたとおり、初回決算は2026年7月10日(金)で、権利付き最終売買日は2営業日前の今日・7月8日(水)です。今日までに買って保有していれば、初回分配の権利が得られます(入金は決算から約40日後、8月20日前後の見込みです)。

面白いのは、初回だけ計算期間が4月21日〜7月10日と約2カ月半ある点です。プレミアムの蓄積期間が通常月より長いぶん、初回は多めの分配になるのでは、と期待する声もあります。ただし口数の増減による希薄化などの変動要因があるため、実際にいくら出るかは決算日の発表を待つしかありません。

なお、権利落ち後に買っても、次の8月10日決算分からは対象になります。初回の分配額を見てから判断する、というのも十分合理的な選択です。焦る必要はありません。

VYM・SCHDと比べてどう?

「高インカム」つながりでVYMやSCHDと迷う方も多いと思うので、性格の違いを整理しておきます。

項目 VYM・SCHD 563A
利回り 3%前後(実績配当) 15%目標(実績はこれから)
分配の原資 企業が稼いだ配当 オプションプレミアム(合成)
下落耐性 高配当バリュー中心で相対的にマイルド ほぼNASDAQ100並みに下落
NISA 成長投資枠の対象 対象外(約20%課税)

長期でじっくり安定的に資産形成するならVYM・SCHD、NASDAQの成長と高インカムを欲張りたい(そのぶんリスクも税負担も受け入れる)なら563A、という住み分けになります。性格がまったく違う商品なので、利回りの数字だけで比べるものではありません。

結論:15%に飛びつく前に、自分がどっち派か決める

563Aは、従来のカバコの弱点に切り込んだ意欲的な設計で、低コストなのも好感が持てます。ただ、まず考えるべきは「自分は成長派かインカム派か」です。

資産形成の途中にいる成長派なら、NISAでオルカンやNASDAQ100を淡々と積み立てるのが本筋で、563Aの出番は基本的にありません。一方、毎月のキャッシュフローを重視するインカム派にとっては、上昇も約9割追える563Aは検討する価値のある選択肢です。その場合も、実績ゼロの新商品である以上、まずは初回・数回の分配を見てから小さく試すくらいの距離感がちょうどいいと思います。インカム狙いなら、国内の高配当ファンドを全銘柄調べた記事のような選択肢と比べてみるのもおすすめです。

そして何より、15%という数字に飛びつく前に、その分配金がどこから来ているのか(企業の利益ではなくオプションプレミアムであること)は必ず理解しておきましょう。仕組みを分かって持つのと、利回りだけ見て持つのとでは、下落が来たときの行動がまったく変わります。

最後に、私がメインで使っている松井証券について紹介しておきます。563AのようなNISA対象外のETFは特定口座での取引になりますが、松井証券なら1日の約定代金合計50万円までは国内株・ETFの売買手数料が無料なので、少額から試すのに向いています。そしてコアの資産形成はNISAで。松井証券はNISAなら日本株・米国株・投資信託の売買手数料が無料、投信の購入時手数料も全銘柄無料で、保有残高に応じて最大1%のポイントも貯まります。コアのNISA積立とサテライトのETFを、同じ口座でまとめて管理できるのは便利ですよ。口座開設は無料なので、気になる方は下のバナーからチェックしてみてください。

松井証券

※本記事は執筆時点(2026年7月8日)の公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。563Aは上場から日が浅く分配実績がないため、最新の運用状況・分配実績は必ず公式サイトや目論見書でご確認ください。利回りは目標値であり保証されません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました